各部の名称と働き

以下は、私なりに文献やインターネットで調べたボート各部の一般的な名称です。語源、和訳、意味などに間違いがあったり、抜けているところがあるかもしれません。お気づきの点があれば、ご連絡ください。

各部の名称と働き

a. ハル(hull:船体、船殻)

ボートの船体そのものを「ハル」と呼びます。エンジンや上部構造物(キャビンなど)を除いた純粋に「船体」だけを指します。ミニ・ボートなどは代表的な「ハルだけ」の構造と言えるでしょう。

b. アフト(aft:船尾方向)

アフトは本来「船尾に」「船尾の方へ」という副詞ですので、ボート中央から見て「後ろ側」くらいのニュアンスです。厳密にここからが「アフト」という決まりはありません。自動車では「リヤ」という言葉を多用しますが、ボートでは使われません。

c. フォア(fore:船首方向)

アフトに対してフォアです。フォアも副詞的に「船首に」「船首の方へ」という使い方と航海用語で「船首部」という名詞的な使い方があります。フォアも厳密に定義されているのではなく、ボート中央から見て「前側」くらいのニュアンスです。自動車で言う「フロント」も、ボートでは使われません。

d. スターン(stern:船尾、とも)

スターンは船尾そのものを指します。ボートを前後方向でおおまかに3分割した場合、一番後部がスターンと呼ばれる部分です。

e. バウ(bow:船首、へさき、おもて)

スターンに対する用語です。ボートを前後方向でおおまかに3分割した場合、一番前がバウにあたります。

f. チャイン(chine)

辞書によると「chine」は動物の背骨を意味する名詞とありますが、ここでは当たりません。V型や平底ボートのようにボトム(船底)とトップ・サイド(舷側)が一線で区別されている船体の境目に当たります。日本語の適訳はないようです。

g. スケグ(skeg)

ボトムの中央を縦に走る骨材をキール(竜骨)と言いますが、キールから飛び出した「ヒレ状」の構造物をスケグと呼び直進性の向上などを目的に付けられています。現代のボートでは明確な骨材としてのキールがないので、スケグとの区別が曖昧ですが、キールはボート本体の強度部分を、スケグは航行性能向上のための造作部分を指します。

h. キール(keel:竜骨)

ボートの背骨に当たる主要な構造体で、ボトム(船底)中央を船首から船尾まで一貫して通る貫通材をキール(竜骨)と呼びます。ただ現在のボートは、強度部位としてその働きを担ってはいますが、骨材が入っているということはなく、ボトム中央の稜線部がキールに相当すると思われます。また、前述したスケグと一体に成形される場合も多いようです。

i. エントリー(entry)

船首のステム下部からボトムのミッドシップあたりまで、水中で水を切って進む部分を指します。「水を切る」のは主にステムのように思われますが、「entry」の意味を考えると、水中部分を指すようです。

j. ステム(stem:船首材、舳先〔へさき〕、舳〔みよし〕、水押〔みよし〕)

キールから立ち上がる船首部材のこと。現代のボートには部材としてのキールはないので、船首の稜線部分をステムと呼びます。和船の水押(みおし→みよし)とほぼ同じ部位のこと。

k. デッキ(deck:甲板)

ボートではハル上縁に位置する床面のことを指します。古くは木造船においてハル上部に渡された「ビーム」に張られた床面をデッキと呼びました。ミニ・ボートのようにハル上面より低い位置に人が乗る場合、そこに張られた床は「デッキ」とは呼ばず「ソール」といいます。

Source: AOKIDS